新任勤め人のつぶやき第2回『“準備”について』 つぶやき足りないのでもう少し
3⃣ 『転んでも 明日に向かって 起き上がる』 
僕は自分が「準備」と思ってしたことを、思い返してみました。
・子どもたちがやって来る様子を、ぼわ～んとイメージしてみる。
・だいたいこんな感じかな～と、ざっくり身支度の順番を考える。
・・・この２点だけでした。
これだけで僕はすっかり「準備」が整ったような気がしていたのです。
僕の「準備」は、全体像をおおまかに捉えたところで終了していました。
そこからさらに順を追い、細部のひとつひとつを具体的にイメージしていく作業が足りなかったことを思い知りました。
ではなぜ、僕は細部を具体的に考えることができなかったんだろう。
その原因のひとつとして気がついたのは、初めて出会う子どもたちをイメージする時に、僕は自分自身の行動パターンを基準にして、その範囲内での想定しかしていなかったということです。それも意図的にではなく、無意識のうちに。
小心者で用心深い僕は、初めて訪れる場所に駆け込んだりはしない。
初めて出会う人から、馴れ馴れしくあれこれ話しかけられたくもない。
なにか伝達事項があるのなら、必要最低限の言葉で伝えてくれたら良い。
そうでなければ、全身の毛穴から僕に話しかけるなエキスをまき散らし、物陰に隠れて注目を避けたい。そこから逃げ出せるほどの勇気はないから。
僕が迎え入れられる子どもだったら、きっとそうなる。およそ間違いない。
だけど、僕が迎える子どもたちは、誰ひとり僕ではない。
僕と似たようなタイプの子である可能性もあるけど、そうでない可能性だって同様にある。だとすれば、考えられる可能性はいったいどれだけあるだろう。
自分ではない相手のことを想像する。
それさえできていれば、僕の準備はもう少し違ったものになっていたのかもしれません。
こうして書いてみると、とてもよく分かった気がするし、今すぐにでも簡単にできそうな気がします。
でも実際は、そんなにうまくいきません。
僕はあのリハーサル以降も、様々な「準備」をする機会が度々ありました。
にもかかわらず「充分に準備ができた」という経験が、僕にはまだ一度もありません。
どうやら、僕がこれまで四十年以上かけて培ってきた物事の捉え方、考え方の傾向、癖、みたいなものはとても根深いようなのです。
ほんのちょっとでも気を緩めるとすぐに、それこそ無意識のうちに、自分中心の視点で想定した枠の中になんでも当てはめて考えようとしてしまいます。
自分にしみついている思考のパターンを変えることは、断固たる意志と日々の訓練が必要なようです。
どれだけ分かったような気がしていても、思ったようには行動に結びついていない今の僕にとって、まだ本当に分かったとは言えないことなのだと思います。
「準備」って難しい。
つぶやき足りないのでもう少し
九州幼児教育センター